#5682

現在へと至るキセキ


文化

『未来のミライ』
(2018年、監督:細田守、制作:スタジオ地図)

横浜に住む夫婦との間に産まれた4歳の男の子「くんちゃん」は、
久々にお母さんと再会する。お母さんは手に女の子の赤ちゃんを抱いていた。
妹ができたことに喜ぶくんちゃんだったが、
お母さんとお父さんは妹・ミライちゃんの世話に追われ、くんちゃんをのけ者にするようになる。
とたんに親の愛情を失ったくんちゃんはミライちゃんに嫉妬を感じ、泣きだしてしまう。
それからというもの、くんちゃんはミライちゃんに悪戯をするようになり、両親を困らせる。
生まれたばかりのミライちゃんへの嫉妬が抑えられないくんちゃんの目の前に、
ある日、一人の少女が現れる。それは未来から来た中学生のミライちゃんだった。

*  *  *

地上波初放送ということで『未来のミライ』を観ていました。
『サマーウォーズ』で有名な細田守監督作品としては最新作ということになります。
以下、ネタバレ注意。

率直に書いてしまうと、わりと観る人を選ぶ作品だとは思います。
特に、家族ぐるみで観るものではない……かもしれません。
主人公・くんちゃんは結構なわがままで、人を困らせることに長けています。
そういう描写でイラッとさせられる人もいるでしょう。
リアルな子育ての一面を描いているということなのでしょうが、
ナイーブな人には向いていないような気がします。

そのうえで個人的に良かったなぁと思うのは、「未来の東京駅」の描写ですね。
東京駅が50番線までできるなんて100年後も実現していないような気がしないでもないですが、
こういうハイテクな未来観はある種『サマーウォーズ』にも通じるところがあり、
細田監督作品で最も楽しめる一面なのではないかと思いました。
その東京駅の描写が、田舎の駅から乗り入れるところから始まるのもいいですね。
田舎はとことん田舎として描かれているので、そのギャップがすごい。

第二子を産んだ際の家族の苦労というのは、自分はまだはかりようがないのですが、
現実は甘くないんだろうなということを思わされました。
誰だって家庭円満がいいに決まっている。けれどそれを実現するのがいかに難しいか。

総じて、さすがに『サマーウォーズ』には及ばないと思います。
敢えて上から目線的に書けば、よくできた凡作、といった程度でしょうか。
とはいえ自分は今まで名作中の名作と呼ばれている作品しか観てこなかったので、
もっと客観的に観ればこれも十分名作なのかもしれません。
単なる名作と言うよりは、家族愛や、
祖先から受け継がれてある「現在」の尊さといったものを教えてくれる、
考えさせられる作品なんだと思います。ただ単に感動や勇気をくれるような率直な作品じゃない。
そういう意味では、なんとなく文学的な感じもしました。
表現そのものじゃなくて、その裏にあるメッセージ性にこそ意味があるというか……。

まぁでも何にせよ、映画はいいものですね。
来週の『金曜ロードショー』は待ってましたとばかりに『サマーウォーズ』ノーカット版です。
とはいえ自分は最近iTunesで買って観てしまったので、地上波で観るかどうかは微妙なところ。

0

コメントを残す