買ってきた袋いっぱいの手持ち花火
右手をしっかり差し出して
火を点けるたびに笑い 驚いていた君と
たったふたりだけの花火大会
締めくくるのは線香花火
夜空に光る星達が観客
さぁ火をともそう
ふたりが持った糸の先へ
パチパチと光るオレンジの珠が眩しくて
君の横顔を明るく照らす
ずっと見ていたい
落ちないでほしかった
何かを呟くように光るふたつの珠が
しゃべりあっているように見えた
「綺麗だね」って言う君と
灯された儚いいのち
とても似合ってて
僕は笑って「そうだね」と
自分の花火を見て呟いた
落ちてしまったふたつの珠
切れた糸に何故かぬくもりを感じた
君の糸と僕の糸を結べば
僕らが輝く花火はこれから
さぁ火をともそう
ふたりが共に生きて行く路へ
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29作目。“線香花火”の詩、恋混じり仕立て。
線香花火、個人的にはかなり好きです。
打ち上げ花火が刺激的なものに対し、とても脆くて儚い花火・・。
なんだかその相対感がとても好きです。
で、この詩はそんな線香花火の切なさに“恋”という題材を塗り足したものです。
何故彼は綺麗だねと言われて彼女の顔を見なかったのか・・。
そこらへんが裏設定のつもりです。
というか、恋愛歴無いクセになんだよ「センチメンタルバージョン」って・・。
もしも変だったらすみません・・。サブタイのスペル間違ってたし・・。