#412

過ぎ去りし日々の詩


創作 空想


小さな少女が大きな雲を見てました

展望台の根っこから 静かに揺れる雲たちを

少女は不思議そうに じっと見ていました

どうして雲は動いているの?

素朴な疑問を口にこぼすと 我が娘を見ていた大人が

それは風に流されているからだよと 優しく答えてあげました

それでも少女の疑問は晴れず

じゃあ流された雲はどこ行くの? と、聞きました

それは風しか知らないな・・

そう少女の父は答えました

見ていた雲が流されて また新しい雲がやってきて

少女は見ても見足りぬ気持ちで その雲たちを見てました

『雲もきっと人間の事を見てるんだよ

だから色んな所を見て回りたいのかもね』

父親は ふと考えついた台詞を心の箱に押し込めて

展望台の冷たい壁に重さを預け その風景を見ていました

夕焼け空は雲を 太陽という赤い絵の具で塗りつぶし

夜空は雲を どこか雄大な灰色で塗りつぶし

それらに気付くたび 少女は何かを想いました

変わる少女に気付くたび 父親も何かを想いました

希望を想うたび勇気が満ちあふれ

天恵を想うたび感謝に満ちあふれ

未来を想うたび色んな想いに絡まれて

誰もが自分しか持っていない宝物担いで 前へ行こう

きっと夢は叶うから

過ぎ去りし日々は雲のようで

やがて カタチ変わり色が変わり

最後には 消えてしまう

人の想いもそうなのかななんて 今の少女には知る由もないけれど

あの日の空が

あの日の雲が

教えてくれた

己が存在を開く事は

時の流れを知る事だと言う事を

—————————
30作目。“未来への可能性を問う”
非常に長い詩です。約1300文字はあると思います。
“雲の道”へ問う幼い少女と父親。
地平線まで広がる草原。その中央にそびえ立つ展望台・・。
そんななか、妙に低空を泳ぐ雲達を見つめる小さな少女・・
という神秘的な背景を描いたつもりです。
夏休み前に作った詩の最後を締めくくるに値する完成度だったかな、と。
具体的なテーマはかなり多方向に広がっているので、
個々のイメージにお任せします。夏詩11作目でした。

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