#520

秋雨の詩


創作


何処へ行く必要もないのに

雨降る外へ傘を差し歩く

静かな町中

まるで誰もいないみたい


足音は雨音にかき消され

雨音は幾百千の連打が続く

傘に当たった粒は

ひたすらはじけ飛ぶ音を生み

特等席で聞いているとまるで

なにかの音楽の様で

そしてそれは渇いた心を

ゆっくりとゆっくりと潤していく


塀を駆け下り川に集まり海に集い

いつの雨もそうやってはまた

音を生む為に落ちていく

この秋雨も


枯れ木が痛そうに雨を受けていた

これから生まれる若葉が喜んでいた

そんな気がした


人が何ともないこの雨も 蟻にとっては大災害

なんとなく哀れみを感じた


どことなく立ち止まり 雨の音に聴き入った

そして傘を閉じて 空を仰ぎ

目を閉じて 口閉じて 顔に当たる雨が

きっと これから 冬になるって事を

伝えてくれた

ような音がした

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47作目。“雨を楽しむ”
以前作った「さざなみの詩」のリズムをちょっと模倣したものです。
内容も少し似ている感じです。
冷たい雨というより冷たい風を感じる今日この頃ですよね。
“傘の必要性”を謳ったような詩ですが、
僕は最近雨を傘で防ぐという感覚を忘れてしまっています・・。

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