#789

影の詩


今日もさしかかったトンネルをくぐった

誰も一緒にいない 標識すらない

ただ並ぶオレンジのともしびが

視界を淡く照らしていた


ずっと同じ風景 たまに曲がりくねる道

痛くならない足 ずっと動き続ける

退屈だと言って 色々なこと思い浮かべては

この長いトンネルを 忘れようとしていた


伸びては消え 縮んでは消え

歩いては増え 結局無くならない 僕の影は

ずっと無くならない 光を浴びる限り


消えんとする影 確かに今僕は

昨日のことを 忘れようとしていた――



明日に怯えながら歩く

目の前の風景にとけ込んだ時

抜け出せなくなった時 誰も助ける人はいない

だからむしろ 今に怯えながら歩く


早く出口の光を見たい

けれどここらで一息つきたい

残酷な足は

自分で休むことを知らない


疲れ果てて出口を見つけた時

光 掴む気力がないのに

光を掴もうとした あの時


光を掴めば疲れなんて吹っ飛ぶ気がした

とりあえず出口まで全力で行けばいいと思った

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63作目。これも比較的思いつきで書きました。
書くきっかけは珍しく2つあり、1つは先々週木曜日の下校時・午後8時、
街灯に照らされて映った自分の影を見て。
もう1つは昨日と一昨日、夜明けまで暑さにうなされて眠れなかったこと。
これらから「夜」というテーマを「トンネル」に例えています。
「トンネル」は勿論夜のことで、他にも光や影、入口や出口、自分やその足など、
比喩表現っていうのかな?――色々例えて書いているので、少々分かりづらいと思います。

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