#2905

前衛音楽探求の道


音楽


趣味はと聴かれたら音楽と答えるくらいに、音楽が身近な存在になっているここ数年。
「どんなジャンルを聴くの?」と訊かれた事は今までに数度しかありませんが、
相手がゲームを知ってそうなら正直に「ゲーム音楽が半分くらい」と答えるし、
相手の趣味が見えてこないなら
「普通のJ-POPは聴かないけれどPerfumeみたいなテクノポップは聴く」
と答えます。実は自分のライブラリはテクノポップよりも
アンビエント/エレクトロニカ系の音楽の方が多かったりするのですが、
再生数の割合は圧倒的にゲーム音楽とテクノポップが多くを占めるので
嘘を付いているつもりはなく、できれば誰かとこっち方面の話ができれば……
とはエレクトロニカを聴いている時に常々思っている事なのですが、
相手が知らないジャンルを語ってもしょうがないというのが現実で、
エレクトロニカを一緒に語る相手とは今日までついぞ一人も出会っていません。

そんなマイナー具合が影響しているのか、
ただ単に去年以前はゲーム音楽が主流だったからか、あるいは知識がないからなのか、
そういえば話し相手を考える必要がないブログでも
この話は滅多にしないなぁと、改めて気付きました。
再生数統計でエレクトロニカがTOP20に入った時くらい?
そんなエレクトロニカですが、どうもここ数日、
あるアーティストが気になってしょうがない状態に陥っています。

(オウテカ)はエレクトロニカの原型であるIDMの中でも、
Aphex Twinと並んでシーンの最重要ユニットと目される有名アーティスト。
……と、エレクトロニカというジャンルを知って間もない頃に耳にした情報を元に、
「そんなに有名なら」と『Peel Session 2』『LP5』の二枚を聴いてみたのが
2009年~2010年初頭頃。多分、当時の自分がAutechreの世界を一言で表すのなら
“病的な世界”と言うと思います。
9thシングルPeel Session 2は比較的穏やかなアンビエント音楽で、
ここから入ったおかげで自分にとっては
Autechreは言われているほど強烈なイメージはなかったのですが、
iPod touch購入直後に聴いた5thアルバムLP5は
まさしくAutechre独自のIDMといった感じで、
このアルバムを買うきっかけだった『Fold4,Wrap5』はかなりのお気に入りだったものの
他ジャンルや、それどころか他のエレクトロニカとも相容れない独特の雰囲気もあってか、
いつの間にか全然聴かなくなっていました。

全然聴かなくなってからしばらくは、I am robot and proudやKettelのような
聴きやすいエレクトロニカばかり聴いていた傾向があって、
それからは完全にテクノポップとゲーム音楽にアルバム購入資金枠を奪われ、
作業用に聴くアンビエント系音楽を少し増やす程度に留まっていました。

Autechreは、あたかもエレクトロニカの重鎮的存在のように語られる事もありますが、
有名だからといって決してエレクトロニカの入口として適しているわけでもなく、
去年末頃から、しばしばAutechreはエレクトロニカを聴くという迷宮にあっての
ひとつのゴールのような存在なんじゃないかなと考えていました。
この良さが分かったらエレクトロニカというジャンルを知るという事について
一皮脱いだ事になるような存在とも言うべきか。
もちろん、聴き方は人それぞれなのでこれは主観的意見でしかないですが、
少なくとも昔の自分が「病的だ」と感じていた音楽が、
今改めて聴いて見るとかなり良い音楽に聞こえてくるこの現象は、
エレクトロニカというジャンルをおおよそ一周して、ようやくここまで来たのかな、
というような実感を湧かせるような気がします。
いや、別に「自分はブラックコーヒーが飲めるから大人、
Autechreの良さが分かるから大人」みたいな事を主張したいわけではないのですが。
でも、良さが分かるまでに時間がかかる音楽というのは存在すると思います。
Autechreも、一度聴いてからちょっと置いておくと良く聞こえる類の音楽なのかも。

きっかけは先日、iTunes Storeのウィッシュリストを整理していた時に
大量のアルバムに紛れてぽつんと10thシングル『Gantz Graf』が置いてあったのと、
それとPeel Session 2も含むシングル曲のベストアルバム『EPS 1991-2002』が
去年リリースされたのを知った時でした。
たまにはこういうエレクトロニカを聴くのもありかなぁ、などと
気軽な気持ちで試聴したらのめり込んでしまい、
勢いでこのベストアルバムと8thアルバム辺りをポチってしまいそうなところです。
ただ、この手の音楽は純粋に「試聴して良かったから」という理由の他にも、
本意ではないにしても、頭のどこかでは
自分は一般人が聴かないような音楽をライブラリに入れているんだ、というような
ちょっとひねくれた自己顕示欲が働いてしまうので、
本当にこのまま勢いで買って正解となるかどうかはちょっと微妙なところ。
LP5を買った時のようにすぐに飽きてしまうと勿体ないし、
そういう前車の轍を踏みたくないという気持ちもあり、悩ましいところです。

ちなみに、蛇足ですがAphex Twinも決して初心者向けではないと思います。
自分はAphex Twinがエレクトロニカリスナーとしての実質的な出発点だったので
とやかく言えない立場でもありますが、
とにかく彼の作る音楽はジャンルが広すぎて、分類上はエレクトロニカでも
あれはドリルンベースでそれはアンビエントテクノで……となってしまいがちです。
実際自分もまだアンビエントテクノとエレクトロニカの違いは分からないので、
その辺は何とも言い難いのですが……。
じゃあ初心者向けエレクトロニカって何だよ、と言われても、
未だにこれといったアルバムは見つけられてないのが現状です。
「エレクトロニカってどういう音楽?」と訊かれても、
それぞれが思い浮かべるイメージが人によって違うでしょうし、
だからこそ初心者向けと言われる音楽が出てこないのかなと。
強いて言えば、個人的には
Lullatoneの3rd Album『Little Songs About Raindrops』
なんかは、“エレクトロニカらしい”アルバムだと思いますが、
もっとどす黒くてアングラな雰囲気を醸し出したものこそが
エレクトロニカなのかもしれないし、こう考え出すともう何が何やら。

とにかく今の自分のエレクトロニカライブラリは、
結構あるように見えてTelefon Tel Aviv一強の時代がずっと続いているので、
今年はこれに並ぶお気に入りを見つけるべく探求していきたいところ。
Autechreの再発見がそのきっかけになればいいなと思っています。

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