#4000

Instrumental IV


創作

どこまでも透き通った海と白い砂浜の上に、楕円形の島がぽつんとあった。
それは視界の隅から隅まででちょうど収まるほどの大きさで、
中央に傘のような巨大な木が一本立っているだけの、小さくて色気のない島だった。
ふと、視界の隅から何かがふわふわとよろめくように現れた。
鳥かと思ってそちらを顧みると、それは空に浮かぶ植物だった。

それらは丸く白い大きな風船のような球に葉を付け、
風に任せて漂いながら、やがて島の大きな木の上に不時着した。
すると風がそれを見ていたかのように、次にはやや強い風が木を通り抜けていき、
木の上で休んでいた植物たちを軒並みさらっていってしまった。
植物たちの中にはうまく風に乗って視界の脇に消えていくものもあれば、
途中で減速して島に不時着したものもあった。

ふと、木のすぐ下に落ちていく植物を目で追っていくと、
その先に一人の人間の少女が寝ていることに気が付いた。
長細い身体を丸めるように腰を折りながら横になり、手も猫のように丸めて顔の前に添えている。
長くふわふわした髪は木の足下に散らばっており、素足も地面に無造作に投げられている。
少女の着ている青いぶかぶかなワンピースは、時折裾をはためかせて風の具合を伝えていた。

少女のすぐ目の前に植物が着陸すると、少女はおもむろに目を開け、
何か口を動かしたのかと思うと、一度起き上がって大きく背伸びをした。
そして落ちてきた植物を拾い上げて、それを抱えたまま木に寄り添うように座った。
いつの間にか木の背丈ほどの高さにある雲がふわふわと流れてきて、小さな影を動かしていた。
雲が木に引っかかったかと思うと、また少し強い風が吹いて飛ばされていく。

ふと、辺りを見渡すと、同じような色気のない島が、透明な海の上に幾十も散らばっていた。
それらは形も大きさもさまざまながら、相変わらず浮遊する植物が木の周りで遊んでいるだけで、
他には何も見当たらなかった。
次に強い風が吹いたとき、最初に見ていた島に戻ってみると、
浮遊する植物の姿はすでに無く、少女はまたさっきと同じような格好で転た寝をしていた。

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