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無責任な野次馬


ACジャパンといえば東日本大震災時の自粛広告の穴埋め役としてたびたび現れたアレが印象的ですが、
そんなACジャパンが『苦情殺到!桃太郎』というキャンペーンを展開していて、
なかなか考えさせられる内容だったのでここに書き残しておきます。

テーマは「ネットモラル」。
むかしむかしあるところに、おばあさんが川で大きな桃を拾うと、
「通報しろ!」「子どもがマネしたらどうするんだ」「常識なさそう」
といった批判の声が殺到した……というお話。
ゴシップ記事に対するコメントや対立抗争が昔から活発な2ちゃんねるという掲示板には、
「メシウマ(=他人の不幸で今日も飯がうまい)」という言葉があるように、
自分の嫌いな団体や個人の失敗を取り上げてはそれを共有して喜ぶ、
という図式が、自分が知っている限りは大抵どの板にもあったように思います。
お互いに顔の見えない、しかも完全匿名のネットコミュニティにおいては、
その発言が自分自身と紐付けられているという感覚が基本的にはありません。
自分を省みる必要がないので、完全に自分を棚に上げて発言することができるんですよね。
そうなるとトラブルに巻き込まれている人に対して
「自分だったらどう思うか」と考えようにも
比較対象になる「自分」は高い棚の一番上にあるのでとても考えられない。
結果、マスコミ等が伝える結果論だけで、あたかも神の視点から善悪を判断してしまうようになると。

これは他でもない自分自身が、
今でも黒歴史の『ニュース速報板』に入り浸っていた頃を自省して思うことですが、
本当に今改めて考えてみると「お前何様だ」と思うようなこともたくさん書いていた気がします。
時代は変わって今は主な媒体はTwitterに置き換わっているわけですが、
こちらは利用者ごとに情報をフィルタリングできるので
ゴシップ記事が嫌でも目に入ってくることはありません。
ただ、ある程度フォロー数があると一日に何度かバズったツイートが回ってきて、
それがある種の個人批判だったり団体批判だったりすることはあります。
例えば、コンビニのお弁当に異物が混入しているのが画像付きで回ってきたりすると、
数時間後には大手ネットメディアに取り上げられ、場合によっては全国ニュースになることも。
いつぞやにカップ焼きそばが販売中止になったのもTwitterが発端だったと思います。
ただ、Twitter時代に入ってからは
バズったツイートがフェイクニュースかどうかということを検証する人も徐々に増えてきていて、
異物混入を報告しているツイートを「これはフェイクだ!」と晒し上げて、
それがまたバズるようなケースも少しずつ見かけるようになってきました。

Twitterがメールアドレス必須の半匿名メディアであるからというのもあるのでしょうが、
2010年代後半からは、拡散される話題を読む人もただの野次馬で済ませずに、
それが本当かどうかを判断するような動きが少しずつ大きくなってきているような気はします。
Twitter以外の、例えば現在の2ちゃんねるとかはどうなのか分かりませんが。
むしろあの掲示板って未だに人いるんだろうか。

ともあれ、このキャンペーンを見て久々にネットモラルって何だろうと思わされました。
無責任な野次馬にならないように気を付けたいですね。