#5191

親知らずにさようなら


突然ですが、人生で初めて親知らずを抜いてきました。
二十歳を越えてしばらくしたらいつかやることになるのか、
そのときは一体どんな痛い目に遭うのだろうと心の奥底に引っかかっていたイベントでしたが、
それはあまりにも突然に始まってそして終わりました。

2010年以来お世話になっている歯医者では、
虫歯治療が一通り終わると3ヶ月くらい後に定期検診を受けることになっているのですが、
今年初めての検診が今日でした。
実はちょうど先々週末に右上親知らずのクラウン(銀歯のいわゆる“被せもの”)が取れてしまい、
まあ検診のときにくっつけて貰おうと軽い気持ちでいたのですが、
あろうことか今日の検診のときに外れたクラウンを持っていくのを忘れるという失態。
とりあえず今回は検診だけということで次の機会にくっつけてほしいという旨を伝えたのですが、
穴の空いた親知らずを見ていた歯科衛生士の人曰く、
内部で虫歯が進行していて、被せものを付けられそうにない……とのこと。
レントゲン撮影をしてみると、虫歯は神経に到達するギリギリのところまで影ができており、
こうなるともう神経を抜く処置をすることになるとのこと。
そして虫歯になりやすい親知らずは、そこまでして治療してもまた虫歯になってしまう可能性があり、
「親知らずを残すことに何かこだわりがあれば残すことも一応可能ですが……」
と前置きをおいたうえで、抜くか維持するかどちらが良いかということを訊かれました。

せっかく何回にも分けて実質部分を削って型取りして被せものを作ったところで、
今回のように虫歯が進行して外れやすくなり、
外れるたびにクラウンの作り直しなんていうことになったらたまったものではありません。
そして今の自分の生活習慣と年齢を鑑みるに、
そんなことを繰り返して親知らずを維持したところで結局抜くことになる未来が見えた気がしました。
いずれいつか抜くことになるなら今抜いちゃった方がいいんじゃないか。
ということで衛生士の人には抜いて済むならそっちで良いという意志を伝え、
次は主治医の先生に診てもらうことになったのですが……。
一通り診てもらったあと、開口一番、「今日抜いていきますか?」と言われました。
親知らずの抜歯ってそんな手軽にできるものなんだろうか。
了承すると抜歯に関する注意事項をまとめたパンフレットを手渡され、
衛生士の人に抜歯前後の注意事項について改めて説明されました。
説明前に「緊張していますか?」と言われて、ようやくことの重大さに対する実感が湧いてきました。

自分は親知らずが3本生えており、今回抜歯することになったのは右上の虫歯。
レントゲンを撮ってみるとこの歯は隣の臼歯と比べても横幅が2分の1ほどしかないほど小さく、
これなら出血もさほどではないだろうと言われました。
親知らずの大きさは人によってかなり個人差が大きく、大きいと抜歯も大変で出血も大きいそうです。
さらに下顎は付近の骨の構造の関係で抜歯後に腫れたりすることもあるのだそうですが、
上顎の場合は一般にイメージするようなほっぺたの腫れはほとんどないのだとか。
加えて根元がまっすぐなので抜きやすく、
今回の歯は親知らずの抜歯としては特別に簡単な部類なんだそうです。
普通は抜歯直後はおかゆやゼリー類以外の食べ物は一切食べられなくなるのですが、
出血に影響する酒類さえ避ければ普通に飲食しても良いと言われました。
ただし、虫歯が進行しており歯茎にも出血の影響が見られるので抜歯後の止血は遅いかもしれない、
とは言われましたが。

説明後、少し時間をおいていよいよ本番。
どういう器具を使っていたのかわかりませんが、
感覚的には親知らずをものすごく強く押されている感じ。
ぐいぐいと全方位から押され、おそらく虫歯になっていた部分がバキバキと潰れる音が聞こえました。
てっきりペンチみたいなもので抜かれるのかと思っていたので、
これで耐久度テストでもしているのかなとかなんとか考えていたのですが、
そうこうしているうちに自分の口から何かが取り出された感覚が。
しばらく気付きませんでしたが、どうやらその瞬間に親知らずは抜かれていたみたいです。
めちゃくちゃ痛いものだと覚悟して臨んだ抜歯でしたが、
それは意外なくらいなんともありませんでした。
その後の処理を終えてうがいのために開放されたときに舌で触ってみたら、
そこにあったはずの歯がもうありませんでした。

抜歯後、念のためもう一度レントゲン撮影。
主治医の先生に抜いた親知らずを見せて貰いましたが、根っこの部分が綺麗にピンク色でした。
そしてその先端が微妙に台形になっており、
もしかすると先っぽが折れて歯茎内部に取り残されているかもしれないとのことでした。
神経や骨のあるところに異物が残ったらヤバいのではないかとも思いましたが、
元々こういう形状だった可能性もあり、取り残されていた部分があるにしても
レントゲンにも映っていないほど微小なのでまあ大丈夫でしょう、と言われましたが……。
十年後に口から出てきたらどうしよう。

帰宅後1時間ほどして麻酔が切れてきたときに微妙に痒いような違和感はありましたが、
麻酔が切れたかもと思ったら鎮痛剤をあらかじめ飲んでおくといいというアドバイスをもとに
先手を打っておいたおかげでその後もまったく痛みを感じることはなく、腫れることもなく。
普段の治療よりも全然楽でした。今までの不安はなんだんだろう。

とはいえ、上に書いたように今回の抜歯が格段に楽だったのは確かみたいで、
残っている親知らずはどちらも下の歯なのでこれが虫歯になったら今度こそ無事では済まなさそう。
特に左下の親知らずはほとんど歯茎に埋没しているうえに横に向かって生えているので、
万が一これを抜かなければならないとなったら……。ちょっと考えたくないですね。

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