#5263

山奥の記憶


文化 自分


小学三年生の頃、中学年男子の間で「ザリガニ釣り」が流行ったことがあります。
昼休みになるとザリガニの生息している小さな池に行き、
割り箸の先に固い紐を吊して先っぽに給食の食パンをちぎったものを取り付け、
水草の根元をめがけて投げ込む。
ザリガニは人目に付くところにもいますが、
大抵は近付いただけですぐに物凄い速度でバックして水草の影に隠れてしまいます。
なので、きっとその中にはたくさんザリガニが棲み着いているんだろうと言われたものですが、
実際にどれほどいたのかは今となっては分かりません。
パンくずを見つけたザリガニはそっとハサミを出してそれを取ろうとするので、
ハサミが紐に引っかかったタイミングを見計らって引き上げるというのが小学生側の狙い。
しかしこれがとんでもない難易度で、周りに釣れる人は何人かいましたが、
自分が釣り上げたのは一度あったかどうかというくらいです。
祖父母家帰省中だったか、別所では捕獲に成功したことはありましたが、
とにかく昼休みのザリガニ池に棲むザリガニは特別に警戒心が強かったのを覚えています。
ムキになると釣り竿的なフォルムを放棄して紐とパンくずだけで
ヨーヨー釣りの要領で釣り上げようと挑んだりしたものの、
そういうときほど水草の影を探してもザリガニが見当たらないのは日常茶飯事でした。

同じ頃、昔の実家では初夏のクーラーはまだ要らないけれどそこそこ暑いような日に、
中庭に繋がる大きな窓を網戸にしておいて開ける習慣があったのですが、
夕食中だろうがそうでなかろうが、夜になると凄い数のコガネムシがとまりにきたものでした。
マメコガネがほとんどだったと思いますが、まれにやたら大きいムシがとまったりすると、
捕獲してしげしげと眺めていたものでした。

1999年頃だったと思いますが、セミ捕りにも挑戦しようとしたことがありました。
『どうぶつの森』では気付かれずに近付いて網を被せるだけでさも簡単に捕獲していますが、
実際には網を被せて包囲したところから虫籠に持っていくまでが結構難しかったりします。
叔父が「虫捕り網で逃げられなくしたら、そのまま下に引くとセミがひっかかって網に落ちるよ」
とアドバイスをしてくれたこともありますが、
トンボと違ってほとんど捕まえられた記憶がありません。
トンボは当時からむしろ網を使わずに手だけで捕まえるというのが主流で、
これは中学時代に流行ったことがあります。
まぁ、かなり治安の悪い学校だったので捕まえられたトンボは残酷な目に遭っていましたが……。

なんにしろ、なんだかんだでいろいろないきものを目にすることが多かった小中学時代。
そして一気に2018年の今に記憶を戻してみると、
そういえば昆虫を目にする機会って本当に減った……というか、ほぼ皆無だなと。
ザリガニなんて小学生時代以来一度も目にしていないんじゃないだろうか……??
ここ二年ほど、たまに無性にWikipediaの生物種のページを読み漁りたくなるのも、
生のいきものが当たり前のように身近にあった時代を懐かしみたい気持ちもあるのかも。

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