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無垢の華


音楽


– Kashiwa Daisuke
(2014年、guns N’girls Records)
(アルバムNo.451、トラックNo.9341-9351、2015年02月〈第90期〉新曲)


本作はいわゆる普通のポップスですが、
当ブログでは敢えて「」としてカテゴライズしてみたいと思います。

いわゆる「歌モノエレクトロニカ」のウィスパーボイス系ボーカリストとして活動するPianaと、
トラックメイカー・Kashiwa Daisukeによるコラボレーション作品。
Pianaといえば個人的には『Snow Bird』(2003年)に代表されるように静かなイメージでしたが、
こちらは一転して陽気で無垢なポップスに仕上がっています。
全体的にエレクトロニカのミュージック・コンフレーク的な自然要素が散りばめられていて、
歌モノエレクトロニカとしても楽しめる一方、純粋なポップスとしても楽しめる、欲張りな一枚です。
Pianaとしてはある意味では従来のPianaのイメージを裏切る、実直な大人の女性の声。
Snow Birdなど他の作品にあるようなあどけなさは敢えて削がれていて、勢いを感じます。
特にエモーショナルな「Lilac」「Faraway」は至高の二曲。

そして、個人的にこのアルバムで推したいのはアルバムジャケットなんですよね。

白い服を着た無垢な女の子の背中にさまざまな植物が咲き乱れているというこの構図は、
ジャケットを見た瞬間に一目惚れしてしまいました。
楽曲全体のテーマにも十二分にマッチしている、本当にすばらしいジャケットだと思います。
ジャケットって、一見音楽そのものとは関係ないように見えるけれども、
音楽を聴く前の第一印象を形作っているという意味では非常に重要だと自分は考えています。
もちろん音楽単独でも素晴らしい作品なのだけれども、
そうやって抱く前向きな気持ちは、少なからずジャケットへの好印象が後押ししている気がします。
音を楽しむというのは、いわば解釈の世界。
であれば、メタ的な要素も作品を楽しむのに不可欠な要素であるはずです。

で、実は先日、どうしても気になったのでレーベルに問い合わせてみました。
このジャケットに映っている人物の正体は誰なのか、と。
もちろんただそれを問い合わせるだけでは失礼だと思ったので、
楽曲の感想も自分のできる限り丁寧な筆致で沿えて出してみました。
すると、なんとボーカリスト本人から直接お礼のメールが届いたのです。
まさかこんなに喜ばれるとは思っていなかったし、
しかもそれが自分が七年以上お世話になっているエレクトロニカのアーティストという。
自分なんかが、こんなに凄い人と簡単に連絡が取れてしまっていいのだろうか……。

でも、この一件はそんな卑屈な思いを修正する良いきっかけになりました。
自分たち一般人はとかく芸術家をプロだからと距離を置きがちだけれど、
素晴らしい作品を生み出す人たちもやはり人間なのであって、賞賛されれば嬉しいのは当たり前。
せっかく好きな作品と出会えたならば、相手にその思いを伝えに行くことは
もしかすると相手のためにもなっているのではないか、と。

問い合わせの回答も来ました。ここにそれをそのまま載せるのは憚れるので端的に書くと、
冒頭動画のMVに登場する女の子と同一人物だそうです。
てっきり有名なモデルさんか誰かだと思っていたのですが、
年端もいかない無名の女の子だったんですね。
自分はこの子の横顔に一目惚れしてジャケ買いを決心したわけですが、
ということは自分はロリコンなのでしょうか。

音楽アルバムを構成する要素にはいろいろなものがありますが、
このアルバムは、「アルバム」というある要素の集合体を作り上げるにあたって、
ひたすらその一貫性にこだわった一枚としては、細部に至るまでかなり磨き上げられています。
そのことはジャケットやミュージック・ビデオのような
一見本質とは離れている部分にすらそのこだわりが行き渡っていることからも窺えます。
殊にエレクトロニカにはアルバムに一貫性を持たせることを好まれやすいですが、
本作品はそれの良い成功例のひとつだと思います。

自分としてはジャケ買いの成功例としてもっとも印象的な一枚。
たまにはジャケ買いも悪くないよ!

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