#5612

やる気の起こし方


備忘録

山崎拓巳『やる気のスイッチ!』(2008年、サンクチュアリ出版)を読みました。

約十年前に買って読んだとき以来の再読です(#1913『何かを始めたい日。』2009年06月12日)。
いわゆる自己啓発本としては、自分が人生で初めて買った本。
当時まっさらだった自分にとってはかなり強い影響を受けている本でもあります。
今回、一人暮らし時代の本を整理していたら久々に見つかったので、
十年ぶりにさらっと読んでみることにしました。

*  *  *

やる気というものは、自分の中にあるものなのに、自分でコントロールすることができません。
良いことがあればやる気は増し、悪いことがあればやる気はなくなります。
放っておけばやる気は、自分の身の回りに起こることによって左右され、
自分はそれに振り回されることになるでしょう。
しかし、一部の成功者たちはそれを制御し自分のものとして受け入れています。
そうするためにはどうすれば良いのでしょうか?

やる気のスイッチに関わる重要な要素がいくつかあります。まずはセルフイメージ。
これはそれ以上でも自分らしくないし、それ以下でも自分らしくない、
これこそが自分らしいと思う範囲のことです。
セルフイメージは自分の行動をあらゆる面で規定してしまいます。
なので、やる気を起こすためにはまずセルフイメージを書き換えましょう。

セルフイメージを書き換える方法についてはいくつかありますが、
「変わった自分にすでになっていることをイメージする」というのが
本書で一貫して言われていることです。
お金がほしい。きれいになりたい。成功したい。
と思っているのであれば、まずは「そうなった自分のふりをしてみる」。
すでに夢がかなった自分を想像上で疑似体験することによってセルフイメージの壁が崩れ、
自分が本当にやりたいことへの道筋が見えてきます。

ただし、人の心にはホメオスタシスという特性があります。
これは、簡単に言えば急に上がることや、急に下がることを避ける特性です。
いきなりフルスロットルで頑張ろうとすると、
翌日になると「自分は何をしていたんだ?」と言わんばかりにやる気が落ちるのはこれのせいです。
なので、やる気は徐々に少しずつ上げていきましょう。いきなり頑張りすぎるのは禁物です。

以上が本筋ですが、本書ではやる気を出すために重要視されているアイテムがいくつかあります。
ひとつは「言葉」です。脳は言葉によって思考しているため、
言葉によって気分をも左右されることがあります。まずは言葉にしましょう。
なんとなく頭がもやもやしてやる気が出なかったら、
今考えていることをすべてノートに書き出す「モヤモヤノート」はとても有効です。
考えていることを言葉にすることで客観視することができ、
また同じような悩みを別々の問題として捉えていることが分かる場合もあります。
そういう場合はババ抜きの要領で抜き取ってしまいましょう。
こうすることで表層的な悩みが剥がれ落ち、本当の「なりたい自分」が見えてきます。

また著者は良い言葉を選んで使うことで、自然と習慣もより良くなっていくものだと言っています。
なぜなら、脳は主語を理解しない特性があるからです。
他人に対する悪口はそのまま自分の悪口として跳ね返ってくる一方、
他人を褒めると他人が喜ぶのと同じくらい、自分も嬉しくなるものです。
言葉はなるべくきれいなものを選ぶ習慣を付けましょう。

言葉に並ぶもうひとつのアイテムは「無意識」です。これをいかに制御するかが鍵。
私たちはふだん意識していなくても、
無意識によって現実を選んで見ていることが間々あります。
例えば新しい言葉を覚えるとすぐにそれをニュースなどで見聞きしたり。
ブランドもののバッグを買ったら、同じものを持っている人を街で見かけるようになったり。
このように現実を選び取る能力は、私たちの価値観ややる気を左右します。
セルフイメージを書き換えるということは、
つまり意識的に「いつもとは違う現実を選んでみよう」ということです。

また、無意識は答えのない言葉で自分を縛り付けている場合もあります。
「どうせ~だ」「自分は~しなければならない」
といった具合に。これは本書ではメンタルブロックといい、無意識の奥底にあるものであり、
セルフイメージのそれぞれボーダーライン
(これ以上は自分らしくなく、これ以下も自分らしくないと思うその境界線)にあります。
「~しなければならない」と自分の無意識が思っていることに気付いたら、
その取り決めを破ってみましょう。それによって見えてくるものがあるかもしれません。

「~してはならない」と無意識が強く思っていることに気付いたら、
それは過去の失敗体験がそうさせている可能性があります。
私たちはしばしば「昨日の自分」に基づいてこれからの行動指針を決めがちですが、
実は記憶というのは無意識が勝手に選び取ったものであって、必ずしも正確ではありません。
失敗したという結果だけが記憶に残り、それが今後の行動指針を決めようとしてしまうと、
年齢に従ってできることも少なくなってしまいます。
そういうときは「私は~してもよい」と自分に言い聞かせて、過去を断ち切りましょう。

*  *  *

当時はなかなか目から鱗で「この人すごいな」と感心したことを記憶していますが、
今改めて読んでみると、心理学の認知行動療法を参考にしているところが結構多いですね。
認知行動療法をものすごく分かりやすく簡素に、著者なりに解釈した本といった印象。
しかしだからといって決して軽視しているわけではありません。
まず、1時間程度でさらっと読めるほど分かりやすいというのは本としては非常に強いです。
この語彙力はぜひ参考にしたい。
しかも、今読んでも本当に大切なこと「だけ」が書いてある。
何度も繰り返し使える心の処方箋みたいなものですね。自己啓発本ってそういうものでしょうか。

特に「メンタルブロック」のくだりは、今の自分がまさにどっぷり浸かってしまっている沼です。
「こうあるべき自分」と「自分ができること」がまるで噛み合っていないという現状。
「これをせっかくするならここまでやるべきだ」という自分ルールが行動を抑制している。
自分がブログに暇だと書くようなときは実際には暇ではなく、
実際にはやろうと思えばできることはあるが
このメンタルブロックによって行動を阻害されている状態というのが多くを占めている気がします。

今までの経験から言うと、自分もおそらくメンタルブロックを破壊する能力は持っているんです。
ただ、一日や二日ではできない。本を読んだからといって直ちに実践できるわけではない。
でも、そうして思い悩んでいるといつの間にかメンタルブロックの壁が壊れている日が来る。
本当にいつの間にか解決しているんです。
これがきっと本書で言うところのホメオスタシス(恒常性)なんでしょうね。急には変われない。
壁を壊す力というのは、「無意識」(潜在意識)の力だと自分は思っています。
潜在意識というのは、顕在意識と違って急に考え方を変えることはできないということなのでしょう。

そして自己啓発本も同じ。買って読んだからといって、すぐに効果が出るわけでもない。
効き目の薄い風邪薬のようなものです。いや、サプリメントみたいなものなのかもしれない。
本を読んだからといってただちに心が晴れやかになるわけでもない。
この手の本を読む際はくれぐれも期待しすぎない方がいいと自分は思っています。

まぁでも、十年前の自分はなかなか良い本を選んだなという気はします。
タイトル通りやる気のスイッチを見つけたい人にはオススメです。

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