#5749

心のごみ箱


空想

何か嫌なことがあったとき、その記憶は「心のごみ箱」に捨てることにしています。
これは最近意識するようになったことですが、
自分でやっていて非常に大切な精神の支え方だと思っています。
以前紹介した〈#5700『心を軽くするための二十選』2019年07月30日〉の21個目と言えるかも。

例えば、何か嫌なことがあったり些細なミスをしたりしたとします。
そんなときはとっさに、まずその出来事を「今後も覚えておく必要があるかどうか」を考える。
それによって何らかの反省が生まれることもあるし、そうでないこともあります。
もし「今後は○○するときは○○しないように気を付ける」といった反省を無事に取り出したら、
残っている記憶については
「この出来事は、どうせそのうち忘れるだろう」と自分に言い聞かせるのです。
この一連の思考回路を、自分は黒歴史を「心のごみ箱に捨てる」と呼んでいます。
頭のどこかに不要な記憶を投げ入れるマリオの土管みたいなものがあって、
そこに記憶を投げ込むと体外に出ていくようなイメージ。

「忘れなければならない」「忘れてもよい」みたいな自己暗示はしないのがポイントです。
ヒトは今まさに起きた出来事を即座に忘れられるような機能は備わっていません。
「忘れよう」なんて思っても忘れられないのがオチです。
ですから「いつか忘れるだろう」と、とりあえず諦める。
忘れる努力をする必要はないが、憶えておく努力もする必要は一切無い。
そうやって意識の外に追い出すことができれば、あとは時間経過によって自然と忘れていくでしょう。

これは自分のような人間の体質なのかもしれませんが、
ヒトの脳は退屈になると、ネガティブな出来事を反芻しやすいように思います。
ポジティブなことは起きた出来事それ自体を改変しようがないですが、
ネガティブなことは「こうしていれば良かったのではないか」という仮定(妄想)を
いくらでも思いつくことができるので、際限がないんですよね。
ヒトは無心ではいられないので、頭では常になんらかの出来事を考え続けなければいけません。
しかし考えるレパートリーにポジティブな出来事がないと、
どうしてもネガティブな物事をいじくり回すことしかできなくなってしまいます。
暇であることは抑うつのエサになる、というのはここ十年自分を省みて至った結論ですが、
そもそもネガティブなレパートリーも少ないに越したことはありません。
嫌な出来事をわざわざいくつも覚えておくこともまた、抑うつにエサを与える行為になります。
だから、嬉しかった出来事は胸に秘め、嫌な出来事は反省したらスッパリ切り落としていくのがいい。
やや楽観的すぎるような気がしないでもないですが、
精神を正常に保つには大事な営みであるように思います。

「反省」は次に同じ事をする際に同じ轍を踏まないために必要なプロセスですが、
「後悔」はもう変えようのない過去について頭の中で考えるだけで行動が伴わず非生産的です。
このふたつは似ているようで全然違います。
ネガティブになりすぎていると、このふたつがしばしば混同しがち……というか、
反省すべきところで後悔ばかりしていて前に進まないということがよくあります。
後悔に時間を食われている限り、一歩も前に進みません。それは端的に言って時間の無駄です。

もちろん、大きな出来事についてはこの限りではないかもしれません。
受験の失敗、仕事上の大きなミス、失恋や離婚なんていう大きな節目については、
気持ちを切り替えるためにも枕に突っ伏して後悔する時間がある程度あってもいいとは思います。
それをまったくしてはいけないなどと言うつもりはありません。

しかし心がネガティブに寄っていると、
しばしば些細な嫌な出来事も重大なミスのように捉えてしまいがちなんですよね。
なので物事の重大さを判断するためにも、
冒頭に挙げたようなプロセスを通過することで即座に「反省」と「後悔」を分別し、
「後悔」が片手で持てるような小さなゴミならそのままごみ箱に捨ててしまいたいものです。

これは多分、出来事が起きた直後にやるのがいいと思います。
「あとで考えよう」と判断を保留したところで、反省と後悔が絡まってしまっているかもしれません。
保留するくらいなら起きた直後に盛大に後悔した方がマシです。
何にせよ起きた出来事に対する脳内処理は、
なるだけリアルタイムにやった方がいいということですね。
そして覚えておくべきことは覚え、忘れるべきことは忘れる。
自分の場合はブログという媒体があるので、覚えておくべきこと(反省含む)は主にブログに書き、
忘れるべきことは書かないという取捨選択を自然としてきましたが、
この二年ほどは「ごみ箱」を意識することがなくて全部を書き流してきてしまった節もあるので、
これは改めて「反省」して、今後は「後悔」をなるべく書かないようにしていきたいところです。
でも、大きな出来事に関しては精神を保つために敢えて書くこともあるかもしれませんが……。

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