#5880

体力をお金に換える


今日の出来事

さて、研修期間の隙間にちょっとしたお金稼ぎをというつもりで登録した派遣。
そのバイトの初日だったわけですが……

地獄でした。

あっ、大事なところなので読み飛ばさないでください!
本当に大切なことなのでもう一度書きます。今日のバイトは地獄でした。

仕事内容をざっくり簡単に説明すると、
すごく重いものがあるかもしれない荷物の積み下ろしと積み上げを7時間繰り返すというもの。
身近な例で言えば引っ越し作業ですかね。あれを7時間やっているようなものです。

今回のバイト、募集要項では「ドラッグストア商品のピッキング」とありました。
ピッキング業務は未経験なのですが、ググると仕分け作業と出てきたので、
倉庫内を商品持って歩き回るようなイメージがありました。
その予想は半分当たっていたのですが……。
あと、必要な持ち物にカッターとマジックペンとあったので、
少なくとも商品を取り出してうんぬんかんぬんするというようなものを予想していました。

しかし実態はそうではなく、
商品が入ったダンボール箱をまるごと移動させるというもの。
あまり経験はないかもしれませんが、
飲み物を1ダース箱買いするとダンボールに入っているじゃないですか。
そのときに入っている箱が倉庫に無数にあり、一日に全スタッフで26万箱とか移動するわけです。
ダンボールを持って、指定位置まで運ぶ。これを7時間繰り返す。
それはもう、果てしない重労働でした。
カッターとマジックペンなんて最後まで一度も使いませんでした。
でも確かに、考えてみれば通販サイトの倉庫じゃないんだから物はまとめて運ぶに決まってますよね。
じゃあ仕分ける必要があるのかと言われると、
当然のことですが「出荷先」に応じて荷物を振り分けなくてはいけません。
自分たち今回ひたすらやったのは、バラバラの荷物を出荷先ごとに仕分ける作業です。

自分が最初に担当したのは「2区」でした。
朝礼が終わって年配の方が指導員になり、現場で作業の説明を受けることになったのですが……。
この人の語彙力がすさまじかったです。

「これを……あの辺に運んで」
「で、終わったらこれをこうする……」

指示語が何を指し占めているのかをボディランゲージから読み取らないと、
何を言っているのか完全に分からなくなります。
「あの、今の説明の主語はなんですか」
などとツッコミを入れたくなりましたが、キレられそうだったので黙っていました。
説明は最低最小限。イレギュラーの可能性についての説明は一切なし。
じゃあやって、と手で合図されたので、とりあえず取り掛かるしかない。
こんなOJTのやり方は、事務職なら上司の上司が飛んできて怒るような事例だと思うのですが、
ここではそれが当たり前。食らいついていくしかありません。

自分たちのエリアには次々にダンボールが乗った台車が運ばれてきます。
その台車に乗ったダンボールを、まずは「どこに何を」置くのかを把握しなければなりません。
2区の配送先は全12パターン。最初は動きながらこれを覚えることに専念しました。
そうしつつ、教えてくれない部分は社員や他の派遣さんがやっているところを見て覚える。
そうしているうちに、ダンボールが切れた台車はどうするのか、
ダンボールの積み方はどうするのかといったノウハウを溜め込むことができたのですが、
時には「この積み方はダメ」
「通路の邪魔になるからこのエリアには台車は置かないで」などと叱られました。
そんなこと言われても誰も教えてくれないし各自黙々と作業しているから質問しにくいんだよ!!
とでも言い返したくなりましたがぐっと堪えました。
今日一日は耐えどころだ。頑張ろう。

13時にスタートし、重労働でヘトヘトになった15時15分、休憩時間に突入。
やっと休める……と安堵したのも束の間、休憩時間はなんと15分しかありません。
13時から21時までの勤務で、休憩は15時台、17時台、19時台に各15分、合計45分。
したがって、買ってきた昼食も急いで食べざるをえません。
こんなののどこが休憩なのかとツッコミたくなりましたが我慢我慢。
というかこの2時間→休憩のサイクルをあと3回もやるとか無理無理死んじゃう。
自分の身体は15時台ですでに限界を感じつつありました。

休憩が明けてしばらく2区で作業していると、ついに2区の荷物が全部捌けました。
すると今度は6区のヘルプに入ってと言われて行ってみると、
そこはまるで迷路。仕分ける配送先は、なんと30パターン。こんなのすぐ覚えられるはずがない。
それも、6区の社員からは「はいやって」と会って1秒で見捨てられ、
しぶしぶやりながら覚えることに。
ブルーカラーの人たちってOJTという言葉を知らないんですかね。
まぁ、派遣にいちいちチュートリアルをやらせていたら時間が足りないのかもしれませんが。

今回、この肉体労働をやって感じたことがひとつあります。
というのは、倉庫内勤務のような「仕事上言葉を使わない肉体労働」のコミュニケーションは、
ボディランゲージに依存しているところがかなりあるということ。
なので、事務職よりもよっぽど、空気を読むチカラというのが求められます。
もちろん事務職もKY(死語)では仕事しにくいというのは確かなのですが、
基本的にブラック会社でない限り、「困ったら質問する」という手段が許されています。
しかし倉庫内勤務の場合、まず上司に当たる人に相応の説明力が備わっていないことが多い。
そもそも「言語」を使うことを恒常的に行っていないからです。要は職業病的コミュ障です。
だから、「あの人がああいう作業をしているということはこういうことなんだな」
ということを、自分の中で単なる妄想ではなく確実な推測として持っていなければなりません。
これは、質問すればそれで済む事務職とは別の意味でのコミュ力が必要だなと感じました。
もしかすると声でコミュニケーションできる分、事務職の方が楽なのかもしれない。
今回自分は挨拶以外ほとんど言葉を発しませんでしたが、
現場の人たちに教えてもらったことは多くあり、そのおかげでなんとか仕事は形になっていました。
ボディランゲージの情報量ってこんなにあるんだ、ということを学びましたね。

また、今回は繁忙期による増員と欠勤による補充が重なっての派遣ということだったみたいで、
繁忙期のため「とあるもの」を大量に運びました。
それは、マスクです。
今、ちまたで騒がれている中国武漢市のコロナウイルス問題。
どうやらこれに対応するために大量のマスクを小売店が発注したようです。その数、130万個以上。
なので、今日はもうひたすらマスクの入ったダンボールを運びました。
あなたが明日買うマスクはもしかすると僕たちがヘロヘロになりながら運んだものかもしれません。

こう考えると恐ろしいものですよね。
普段自分たちが当たり前のように買っている商品というのは、
実は誰かが額に汗して運んでいたものだったなんて。そんなこと普段意識することはないし、
自分なんかは物流はもう結構自動化されているものとてっきり思っていましたが、違うんですね。
しかもなかなかに効率が悪いです。
誰かがエリアごとに分けた荷物を台車に載せる。別の誰かがエリアごとのブロックに持ってくる。
各ブロックで配送先ごとに荷物を分ける。また別の誰かがそれを台車に積み直す。
それをまたフォークリフトでまとめて運んでトラックに積み込み、
今度は各エリアでの仕分け作業があるんでしょうね。いやー、物流って大変だ。
僕たちはもっと物流関係者に感謝しながら物を買うべきなのかもしれません。

6区の荷物も20時45分ごろにはすべて終わりました。
最後にはスタッフ全員が6区に集結していたみたいで、ラストスパートはかなりの効率でした。
最後の15分間はさらに別エリアの仕分けを手伝っていました。
あと15分の辛抱だ。あと14分、あと13分……。
もはや身体は悲鳴を上げていました。早く帰りの電車で座りたい。足がもう限界……。

そして、21時。
「休憩ー! 9時までの人は上がって!」
現場リーダーの声が響き渡りました。終わった。ついに耐え凌いだぞ……。
今回、同じ会社から派遣された新人は自分含めて5人。
その5人が再集合して、社員にハンコをもらった人から解散ということになりました。
そのうち3人と途中まで同じ帰り道だったので少し話したのですが、
50代のおっさんが「腰が辛かった!」と言っていたくらいで
あとは仕事がいかにキツかったかなどという話はさっぱり挙がらず、
「キツかったですね」と聞いてみても「そうッスねー」と軽い返事が返ってくるばかりで、
自分の気持ちと周りにはかなりのギャップがあることを思い知らされました。
それだけ自分に適正がないのか、それとも他の人は派遣慣れしているのか……。

自分は正直言って、この仕事をもう一度やれと言われたら無理です。
軽い荷物ばかりのピッキングなら、百歩譲ってアリかもしれない。
しかし持てるか持てないかギリギリのレベルの荷物を何百回と持ち運ぶのは体力的に無理です。
どう考えても、五年間デスクワークしかしていない人間に合った仕事とは思えません。
学校時代体育が好きで体力に自信があるとかだったらいざしらず、それですらないですからね。
運動音痴のヒョロガリには過酷すぎる職場でした。

これを来月までの契約でやるのはあまりにも惨いので、
明日さっそく派遣会社に辞めることを伝えようと思っていたのですが、
他の派遣さんが、今回のは今日限りで終わりというようなニュアンスの話をしていました。
そういえば確かにピンポイント案件に応募したんだった。
ということは、もうあの職場には行かなくて済むのか……?
そうなると今度は金銭的にどうなるのかという話にはなるのですが。
まぁいずれにしろ派遣会社への確認の電話はしようと思っています。

バス、電車と1時間乗り継ぎ、帰ってきたのは23時すぎ。
頑張った自分へのちょっとしたご褒美に、滅多に買わないジュースを買って帰りました。
お酒の方が適任なのは明らかだったのですが、睡眠の質を落としたくないということで、コーラに。
コカコーラもたまに飲むとおいしいですね。
自己肯定感が低い人によくあるアドバイスに「ちょっとしたことでも自分を褒めろ」
ってあるじゃないですか。でもあれって無理だと思うんですよね。
だって、自己肯定感が低い人は自分が頑張っていないということは分かっているから。
なんだかんだで、自分に嘘を付くことはできません。
自分に嘘を付くというのは要するに自己欺瞞であり、それもそれで問題があります。
だから「自分を褒める」というのは難しい。

けど、今日はさすがに肉体労働を頑張った自分を褒めてやりたいところです。
それは、自分なりにかなり頑張ったと本心から思うからです。
なるほど、こういう風に自己肯定感は育っていくんだなと思いました。
自己肯定感が低い人(=過去の自分)は結局のところ努力不足なのでは、とも思ってしまいました。

あと、こんな肉体労働をしなくても給料がもらえる事務職ってすごいなーとも思いました。
研修さえ終われば、今日の仕事の数倍の時給が大して筋肉を動かさなくても手に入るわけですからね。
……まぁ、その分事務職は今度は「精神」に負荷がかかる様々な試練が待ち受けているわけですが。
なにごとも、仕事は甘くないということなんでしょう。

それにしても、たった1日のアルバイトでしたがものすごい良い人生経験になったと思います。
今日だけでいろいろな人の視点を手に入れられたような気がします。
……まぁ、二度とごめんなんですけどね。物流関係のみなさま、本当に尊敬します。
これからも頑張ってください。自分は無理です。
明日はきっと筋肉痛だろうなぁ……。

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