「第二次世界大戦以来、我が国の命運がこれほど、われわれの団結に懸かっている事態はない」
――アンゲラ・メルケル、ドイツ首相
「これは戦争だ。だが、我々はこの目に見えない敵を倒す。完全な勝利になるだろう」
――ドナルド・J・トランプ、アメリカ合衆国大統領
人類 vs. 未知のウイルス。
映画にしかないようなシナリオが現実になってしまった西暦2020年の世界。
ついにパンデミック宣言がなされた「新型コロナウイルス」。
最初は、「なんか流行ってるな~」くらいの感覚でしたが、
今となってはもはや歴史に残る大事件になりそうな勢いになってしまっています。
これはきっと十年後の歴史の教科書に載るでしょう。
リアルタイムで入ってくる情報はとても断片的でそれだけでは意味をなさず、
かといってWikipedia等のまとめは冗長すぎて読むのもしんどいので、
今更ながら自分用のまとめ記事を作成することにしました。もう一度言いますが、自分用です。
十年後に2020年当時の状況を思い出すためのものです。
もちろん情報発信者の一人としてデマの流出がないようには心がけていますが、
当記事は自分個人が恣意的に選んで集めた情報なので、活用の際は自己責任でお願いします。
なお、「感染したかもしれない、どうしよう?」という場合には、以下のサイトが有用です。
東京都民でなくてもとても役に立ちます。
新型コロナウイルス感染症が心配なときに – 東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト
とりあえずこの件について私たち一人一人ができるのは、
情報収集・発信ではなく、自宅待機すること、手洗いをしっかりすることです。
ハンドソープを使って隅々までしっかりと洗いましょう。
* * *
◆これまでの経過
ことの始まりは2019年、人口1089万人の都市、中国湖北省武漢市(ウーハン)の鮮魚卸市場。
12月08日にはすでに感染者がいたとされるが、中国当局はその当時は発表しなかった。
最初は原因不明とされていたが、
年が明けて01月07日に新種のウイルス(コロナウイルス)による肺炎であることが確認された。
武漢市からの渡来者を伝ってウイルスは世界中に広がり、
01月16日には神奈川県で日本初の感染を確認。日本国内にも徐々に広がっていった。
02月までは中国本土や韓国での感染拡大が顕著で他国はさほどでもなかったが、
03月24日現在はアメリカやヨーロッパ圏での感染拡大が著しく、パンデミックの中心地とされる。
逆に感染源である中国は感染者数新規増加のピークはすでに越えているように見えるが、
感染者数のカウント方法は各国独自であり、
中国は感染者数を実際より少なく発表していると言われている。
03月10日、日本政府は法令上初めてこの件を「歴史的緊急事態」に指定。
(これは、この件に関する政策会議の議事録をすべて残すように指定するためのもの)
翌03月11日、WHOは新型コロナウイルスの流行を「パンデミック」に相当するとの認識を示した。
世界全体のパンデミックは2002年の「SARS」(SARSコロナウイルス)以来、17年ぶり。
なお、SARSは発覚から終息宣言まで8ヶ月かかっている。
◆コロナウイルスの正体と予防策
今回のコロナウイルスは、SARSの際に流行ったコロナウイルスから派生したまったくの新種。
正式名称は「SARS-CoV-2」、これによる疾患名は「COVID-19」と呼称されている。
新種であるため有効な治療薬は今のところ存在しないが、「アビガン」が有効であるとの情報もある。
エンベロープウイルスであるため(DNAを守る皮膜が脂質で構成されているウイルスのこと)、
アルコールや石鹸で消毒すれば容易に破壊することができる。
そのため、手洗いはとても有効なウイルス対策である。専門家によれば、30秒の手洗いが望ましい。
ヒト-ヒト感染によって感染拡大するが、基本的に空気感染は特殊条件下でなければ起こらない。
(ただし飛沫感染によるリスクはあり、ライブハウス等密閉空間で集団感染するケースはある)
多くの人が共通して触るモノを介して感染が拡大するケースが目立っており、
ビュッフェ形式のレストランやスポーツジム、電車、雀荘などの利用によるリスクが指摘されている。
基本的には感染力はインフルエンザ等と比べて弱いため、
マスクの着用と手洗いを徹底していれば感染することはあまりない。
◆コロナウイルス発症者の症状
コロナウイルスは約2週間の潜伏期間を経て発症する。
日本では37.5度以上の発熱が4日以上(高齢者や基礎疾患のある人は2日)継続で受診対象となる。
発症パターンは主に2つあり、喉でウイルスが増加した場合と肺で増加した場合に分けられる。
喉の場合は風邪に近い症状で、特に咳がひどくなるが重症化することはあまりない。
肺の場合は肺炎を引き起こし急速に重篤化する可能性がある。
いずれの場合もウイルスの繁殖状況によっては軽症・無症状で済む場合も少なくなく、
若者が無自覚のまま保菌している可能性を指摘されている。
◆コロナウイルスによる影響
コロナウイルスの拡大によって自宅待機、イベント中止などを余儀なくされている。
プロ野球や相撲などは「無観客試合」により決行しているが、
Jリーグ、春のセンバツを初め世界的に見て中止に踏み切っているスポーツイベントは多い。
2020年東京オリンピックは第二次世界大戦以来初の1年延期が確定した。
スポーツ以外でもあらゆるイベントが中止となった。
49年ぶりの山手線新駅である高輪ゲートウェイ駅はオープニングセレモニーの中止を発表。
ゲーム業界最大のイベントであるE3も中止が発表された。
企業はリモートワークや時差出勤などで対応しているところもある。
アメリカやヨーロッパ諸国ではすでに自宅待機を強制している自治体も広範に存在する。
この状況を受けて、世界経済はかつてない打撃を受けている。
日経平均株価、ニューヨークダウ平均株価は連日値を下げており、
これに連動してあらゆる株価が下がり続けている。
この暴落はすでに2008年のリーマンショックを超えているとの評価もある。
また、世界的にマスクが供給不足となっており、あらゆる小売店でマスクの品薄状態となっている。
これについてはかねてより転売が問題となっていたが、
03月10日には政府が第一次オイルショックの際に制定した
「国民生活安定緊急措置法」に基づいて転売の禁止を発表した。
この法令が適用されるのは1973年制定以来初めて。
ちなみに、トイレットペーパーも供給不足になるという情報が出回り、
一時トイレットペーパーの買い占めなども問題になったが、これはまったくのデマである。
トイレットペーパーはほとんどが国内産であるため海外の感染状況に左右されず、
供給能力は十分あるため品薄になる恐れはない。デマを流した人物はネットリンチを受けている。
◆コロナウイルスに対する日本政府・関係機関の対応
日本の専門家チームは基本方針として「クラスター」の形成を阻止することに重点を置いており、
感染経路を突き止めることを徹底している。
これによって諸外国と比べて感染数の増加は一定程度抑えられているとされる。
政府はコロナ対策第一弾・第二弾を立て続けに発表し、総額4,500億円規模の対策を行っている。
具体的には医療体制や関係民間企業への支援、ワクチン研究開発支援、
帰国者の受け入れや検疫体制の強化、経済対策など。
02月26日には大規模なイベントの自粛を全国に要請し、現在も継続中である。
また02月27日には全国の小中高校に春休みまでの一斉休校を要請し、
ほとんどの都道府県でこれを実施した。そのため教育関係機関は大パニックに。
これにより休まざるを得なくなった扶養家族には8,330円/日の助成金を支給するとしている。
一方、民間企業に対してはテレワーク、時差出勤をお願いする程度に留まっている。
マスクに関しては政府が製造会社から買い取って各地に配布するなどの対策を取っている。
コロナウイルスによって打撃を受けた企業に対しては、
政府が総額1兆6000億円の無担保・無利子貸し付けを行い、終息後の経済再生を促すとしている。
個人に対する経済支援については2009年定額給付金以来の現金給付が検討されている。
03月14日には「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が改正され、
今回のコロナウイルスにも適用できるようにした。
この法律はもともと2009年の新型インフルエンザ流行を鑑みて作られた法律で、
この法律を適用すると、政府の指示で都道府県知事は住人に外出の制限を要請できるようになる。
首相はこの法律が適用されるときは「最悪の事態に限る」とし、
現時点では発動するタイミングではないとしている。
一方、東京都知事はこのまま感染が拡大(オーバーシュート)した場合、
首都の封鎖もやむを得ないと発言している。
* * *
以上、発生~今日までのざっくりまとめでした。
2013年、オリンピックが東京に決まったとき、
2020年という年がまさかこんな世界的な試練の年になるとは誰が想像したでしょうか。
世界ってこんなに簡単に変わってしまうんだと、改めて実感しました。
そして、人が簡単につながるようになった今の時代、
未知のウイルスがいかに人類にとってどれだけ脅威であるかということも……。
それでも日本はどういうわけか諸外国よりも平和そうに日常が運転させられているのが不思議。
マスクをする習慣が根付いている国民性のおかげか感染拡大はこれまで抑えられてきましたが、
ここ二日の新規感染拡大数をみるに、ここから爆発的な感染拡大となる可能性もあります。
「ここが正念場」と言われていた02月中旬はなんとか乗り越えましたが、
正念場はまだまだ続きます。これは単なる一過性の事件ではありません。
こちらが油断すれば、その隙を見てウイルスは容赦なく拡大していきます。
ある一時を凌いだからといって、自然と終息するわけがありません。
それでも「たった一人」は無力です。
平々凡々な自分たちにできる最大限のことは、エチケットを守り手を洗うことくらいです。
でも、これはトランプ大統領が言う通りまさしく「戦争」なのでしょう。
あまりにも現実的すぎて、それがかえって非現実的すぎるように思えるウイルスとの戦争。
果たして、人類はこれに打ち克つことはできるのでしょうか。