#6402

鉢の上の癒やし


文化

もしかしたら新しい趣味として確立するかもしれないものを発見し、
昨今、ワクワクしながら関連情報を掘りまくっています。

そもそもの発端は、いまの生活には「癒やし」が足りないと感じたことでした。
以前の生活、つまり実家時代における癒やしは、
たとえばかわいい後輩女子だったり、またはかわいいうちの猫だったりしました。
自分を慕う異性や愛玩動物といった「かわいい」存在はそれだけで本能的に癒される効能があります。

特に猫という概念は地球が生み出した、もっともかわいいと言っても過言ではない存在です。
なぜなら古代エジプトの時代から人類に寄り添い人類に愛されることで共生してきたわけですから、
猫の愛らしさというのは数千年の積み重ねによる適者生存の結果と言えます。
その末裔であるうちの猫のかわいさといったらもう言葉にできないレベルです。
三角の耳、ふわっふわの長毛、くりくりとした碧眼、ぴこぴこと動く長いしっぽ、小さな前足後ろ足。
360度どこを見てもかわいいです。もはやかわいいの権化です。
猫と一緒にいるとそれだけで癒され、精神的にもかなり安定するような気がします。

人は、それぞれが異なる価値観を持っているため他人と常にわかり合うのは難しいですが、
しかし一方でれっきとした社会性動物なので孤独であることに寂しさを感じる生きものでもあります。
ある科学者が言うには、孤独というのはタバコや暴飲暴食並みの健康リスクがあるらしいです。
猫のような愛玩動物は、価値観の違いでケンカすることもない一方、
ヒトの孤独に寄り添ってくれる存在でもあり、孤独な人にとっては非常に心強い存在と言えます。

しかし、マンション暮らしで猫を飼うことは簡単ではありません。というか基本無理です。
猫を飼うことが許されている物件だったとしても、
帰省で長時間家を空ける場合、そうでなくても残業等で遅くなる場合など、
一人暮らしでは猫をお世話しきれなくなる場面を完全にカバーするのは難しいことです。
大切ないのちに対して、100%の責任を背負いきれるかというとどうしても確証が持てません。

一人暮らしを続けていくかぎり、「癒やし」というヒトの本能に寄り添う存在が欠乏する。
癒やしの欠乏に有効なのは「かわいい」成分である。
しかし、一人暮らしであるかぎり、かわいいの代名詞である猫を飼うのは難しい。
では、癒やしてくれる範疇の中で一人暮らしでも維持できる何かはないものか?
そうして「かわいい」というキーワードをエサにして、深層記憶の海に向かって釣り竿を振りました。
エサとなったキーワードから、どんどん連想して芋づる式に獲物が引っかかりました。
かわいい→小さい→子ども→夏休み→自由研究→植物の栽培→→……

そうだ、多肉植物を育てよう!!!

実は、多肉植物はずっと前から興味がありました。
小学校低学年時代に静岡県の「伊豆シャボテン動物公園」という
サボテン特化の動植物園に旅行したときにサボテンの鉢を買ってもらったのがそもそものきっかけで、
その後も中学年では文化祭のバザーで500円のミニサボテンを買ったりもしました。
それらは現在も実家ですくすくと育っています。
多肉植物を知ったのは5年前の歯科医院にあった雑誌(#4402『鉢の上の非日常』2016年02月01日)。
非常にユニークなフォルムにとても惹かれ、いつかテラリウムをやりたいと思ったものです。
当時の記事にも「三十路を越えてからかな」と書いてありますが、
まさに三十路も越えてコロナ禍のいまが絶好の機会なのではないかと思いました。

さっそく書店に赴いて、多肉植物のガイドと辞典が一緒になった入門書を2冊購入。
多肉植物栽培の基本をざっくり勉強して、どんな種類があるのかを調べていきました。
思っていたよりもはるかに個性的で多様な種類があり、どれにするか非常に迷います。
先週土曜日には池袋駅直結の西武池袋本店9階にある「鶴仙園」という、
多肉植物専門のガーデニングショップにも赴いて、実物の多肉植物を見てきました。
実際に見てみると本当に小さくてかわいいですね。

ちょっと脱線しますが、多肉植物が持つ「ユニークさ」は自分が好きな軸にマッチしていて、
それは「キモい」の解釈にも通じるところがあります(#6384『形容詞と倫理観』2021年06月19日)。
つまり、自分が従来好きになってきたエレクトロニカとか深海生物、微生物、寄生虫といったものと、
多肉植物はなんとなく美的感覚の面で共通点を感じずにはいられない。
それは、一般的にイメージする「植物」から逸脱していることへの敬意でもあります。
だから、自分はきっと平凡な観葉植物では満足できないと思うんです
(もちろん平凡な多肉植物や、特異な観葉植物も存在しますが)。
オンリーワンだったりマイナーだったりすることに特別な価値を感じるというのは、
自分の人生観でも幼少期から一貫して持っている価値観であり、
一般大衆的な美的センスとはちょっと違う特異なところなのかなと思っています。

さて、多肉植物を育てたいと思ったら、じゃあすぐ買えばいいのかというとそうでもありません。
どんどん調べていくと、なかなか一筋縄ではいかないことが分かってきました。
まず、自分のマンションは窓が北にしかありません。
多肉植物は主に熱帯で育つ植物で、日光を多く必要とします。
東京のようなコンクリートジャングルでは、そもそも栽培は難しいそうです。
そのうえ東西からの直射日光が入らないうちのような立地はさらに厳しいのが現状です。
そもそも、日本の気候が亜熱帯なので多肉植物の故郷と大分異なるという点で難しいです。
なので、買ったらあとはほっといても自動的に育つという甘い話でもないようです。

対応策としては、いわゆる「植物ライト」を買って室内栽培をするという手段。
植物の光合成は、主に赤い波長と青い波長をエネルギー源としており、
それらのスペクトラムが含まれてさえいれば、実は人工光でも太陽光と同じように光合成できます。
どんな人工光も直射日光の強さには敵わないのですが(ルクス換算で10~100倍の差がある)、
植物には種類によって必要な光量が異なっており、
最低限呼吸に必要な光量を「光補償点」、
これ以上強くても生長に寄与しないボーダーラインを「光飽和点」といいます。
光補償点以下の光量で植物は呼吸でき、それ以上の余分な光量で植物は生長していきます。
晴天の直射日光はあまりにも強いので多くの植物にとっての光飽和点をとっくに超えており、
強めのLEDライトであれば光補償点は確保できるそうです。
ただ、この辺はネットでいくら探しても信頼できるソースが見つからないので、
場合によっては光合成についての生物学の勉強が必要ですが……。

ちなみに、光量が不足するとどうなるかというと、植物の形が崩れてひょろひょろと伸びます。
これはいわば光量不足によって最低限の光合成=呼吸ができてない状態であり、
植物が「もっと高くないと呼吸ができない」と判断するからだそうです。
これを徒長といい、見た目が悪くなってしまう原因になります。
徒長を防ぐためにも、元気に育てるために光量の確保は超重要というわけですね。

栽培開始までのハードルのひとつが、この光量確保の問題。
これを解決するためにはLEDライトや光量を計測するための照度計を揃えて、
栽培する前に必要な光量が出ることを確認しなければなりません。

もうひとつは、壌土水分や室温、湿度の管理。
これは自分なりのこだわりポイントであり、ここまでやる必要がないのは承知の上なのですが、
可能であればこれらをデータロガーと連携したうえで、
栽培環境をスマホからいつでも確認できるようにしたいと考えています。いわゆるIoTですね。
そこで登場するのが、SBC(シングルボードコンピューター)の代名詞でもあり、
電子工作の分野でも活躍しているミニPC、「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」。
ググるとすぐ出てきますが、ラズパイはアナログ信号をデジタル信号に変換することができ、
これを利用した各種センサーが安価で販売されています。
土の中の水分を計測する壌土水分センサーも簡単に手に入ります。

計測はプログラミング言語Pythonで実行することができるようになっているので、
あとはOSの機能でそれを自動実行してサーバーに送るようにすればスマホからでも確認できます。
ただ、壌土水分センサーのロギングについてはいくつかノウハウが転がっているのですが、
壌土水分、室温、湿度を同時に計測してログを取る方法はなかなか出てこないし、
自分は電子工作についてはチンプンカンプンなので、
そもそも壌土水分センサーと温湿度センサーが共存できるかどうかもよく分かっていません。
その辺は電子回路を読み解いてなんとかするしかないのかも。

ちなみに、もしもロギングがうまくいってさらにラズパイを活用できる余地が生まれたら、
照明や扇風機(風通しを確保するために必要)の遠隔・自動ON/OFFや、
あるいは自動水やりなんかも実装したいと考えていますが、素人には長い道のりです。

あとはお金という問題もあるにはありますね。
栽培のためのLEDライトと水槽、ラズパイ、扇風機でしめて45,000円くらいはかかる見込みです。
これに加えて園芸ハサミや固形肥料、土、ジョウロや霧吹きといったアイテムや、
多肉植物そのものを買うためのお金も必要になってきます。
思っていたよりかなり初期投資のかかる趣味なんですね。

多肉植物そのものについては、いろいろと迷っていますがとりあえず5鉢育てようと思っています。
そもそも多肉植物というのは生物学的には生物の分類を指す言葉ではなく、
双子葉類にも単子葉類にも被子植物門以下のいろいろな系統に存在していますが、
園芸界隈では、見た目上の分類として保水する部分が「葉」か「茎」か「根」で分けています。
葉がぷっくりと膨らむ多肉植物はセダムやエケベリアなど、多肉植物の中でも比較的メジャーな部類。
茎が膨らむのは、要するにサボテンです。サボテンは多肉植物の一種と言えます。
ただし茎が膨らんで一見サボテンっぽくてもサボテン科に分類されない多肉植物もあります。
根が膨らむのは「コーデックス」と言われ、盆栽のような独特な雰囲気があります。
コーデックスの一部はものすごく長寿で、高値で取引されることもあります。
キソウテンガイに至っては1000年以上生きると言われています。

ほんの4年くらい前までは日本の多肉植物は中国の資産家に注目されて
インバウンド需要で非常に高騰していたらしいのですが、
昨今はコロナ禍ともあってほとんどの多肉植物の値段は落ち着いているみたいです。
実際に池袋のお店で見た感じだと概ね2,000~5,000円で買えるといった感じです。
なので5鉢買えば最大25,000円ですかね……?
ただ、自分は可能なら種(実生)から育てたいという気持ちがあるので、
種だったらそこまで高くないかもしれません。

あとは、もうひとつのこだわりポイントとして「鉢」もあります。
こっちもこだわりだすと本当にキリがないのですが、
植木鉢にも素材や形によってさまざまな分類があり、
特にやきもの(陶磁器)となるとそれだけで趣味として成立するほどのコレクションになります。
多肉植物においては植物の生長に合わせて鉢を替えていく必要があるため、
実際には予備の鉢も含めてたくさんの鉢を準備しておかねばなりません
(ちょうど、ヤドカリを飼う際に成長を見越して多くの貝殻を用意しておくのに似ています)。

素材については、素焼き鉢は通気性が良いが乾きやすい、
塗り鉢は乾きにくいが根腐れを起こしやすいなど一長一短みたいです。
とはいえ、鉢植えは鉢と植物が組み合わさって愛でるものなので鉢はある程度こだわりたいですね。
実はやきものも21年前の2000年に四国で陶芸体験をしたとき以来興味があって、
いま使っているコーヒーカップなども全部陶磁器だったりします。
国分寺駅のフェアで買い揃えました。こっち方面も好奇心に火が付いたらヤバいかも。

というわけで現状としては、光量の問題はあとは配線を考えれば大丈夫なのでなんとかなるとして、
Raspberry Piで水分室温湿度をロギングする方法がまだ確立していないことと、
あとは単純に金銭的なハードルが壁になっています。
今月来月はハードウェアウォレットやらPlaydateやらでいろいろ出費予定があるので、
金銭的なハードルを最後に突破すると考えると09月スタートが無難かな?
できれば意欲的に勢いがあるうちに始めるのがベターではあると思いますけどね。
本当であれば、それこそ来月から始めるのが良いとは思うのですが。
いずれにしてもIoTの問題が解決しないと先に進まないので、その辺の調査を進めていきたいところ。
5鉢ではなく1鉢から初めて安価かつコンパクトな栽培環境で様子を見るのもアリか。

ちなみに蛇足ですが、多肉植物を調べているうちにアクアリウムにもちょっと興味が飛び火しました。
「もういっそのこと多肉植物を栽培しつつ魚も育てるのもいいんじゃね??」的な。
多肉植物の最低限の設備だけで45,000円以上かかることを考えると現実的に難しいとは思いますが、
実はアクアリウムも前々からやりたかったことなんですよね。
2009年前後に一度その波が来ていたと思います。
当時はデスクトップカスタムにハマっていましたが、壁紙はいつもアクアリウムでした。
「いずれは新本家サイトでアクアリウムのライブ配信をやりたい」なんて思っていたものです。
ちなみに12年を経て2021年現在は自分の妄想を実現した人(事業者)がYouTubeにやまほどいます。

ただ、アクアリウムは何を育てるにしても動物ということになるので、
植物である多肉植物よりは一段階ハイレベルなんですよね。
まだ多肉植物すら育てたことのない自分がいきなり並行してお世話できるのか、甚だ疑問です。
そういう意味でも今回は見送りが妥当そうな感じですが、
興味はあるので関連書籍でも買って満足することにします。
もしも本当にアクアリウムをするならドジョウかヤドカリを飼ってみたいですね。

さらに昨今はアクアリウム以外にもいろいろと多肉植物から飛び火したカルチャーがあり、
もはや収集着かない状態になっていました。まさしく好奇心の暴走状態です。
アクアリウム以外に飛び火した文化についてはまたいずれ紹介できたらなと。
まずは多肉植物栽培を開始するか否かについて、しっかりと考えていきたいところです。

今日は01時就寝12時半起床。
中途覚醒に悩まされましたがなんとか午後も惰眠することなく起きることができました。
特に意味もなく丸の内に行ったらセールをやっているとかでチラシをもらいました。
給料日以降もやっているので、その期間を狙って本を買いに行こうかと考えています。

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